【一般小説感想】流浪の月-凪良ゆう

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【一般小説感想】流浪の月-凪良ゆう

目次

【作品データ】

作者:凪良ゆう

出版社:東京創元社

紙初版日:2022年2月25日

あらすじ

【2020年本屋大賞受賞作】【映画化決定 2022年5月公開 監督・脚本 李相日 出演 広瀬すず、松坂桃李、横浜流星、多部未華子ほか】最初にお父さんがいなくなって、次にお母さんもいなくなって、わたしの幸福な日々は終わりを告げた。すこしずつ心が死んでいくわたしに居場所をくれたのが文だった。それがどのような結末を迎えるかも知らないままに――。だから十五年の時を経て彼と再会を果たし、わたしは再び願った。この願いを、きっと誰もが認めないだろう。周囲のひとびとの善意を打ち捨て、あるいは大切なひとさえも傷付けることになるかもしれない。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい――。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。本屋大賞受賞作。/解説=吉田大助

https://www.cmoa.jp/title/1101340602/

ネタバレなし感想

すごかった。

ネットで「流浪の月」を調べるとサジェストに「気持ち悪い」がくっついていたので「なぜ!?」となってしまいました。ちゃんと最後まで読んだのかな? と思います。私は大好きです。

すらすらと読みやすい文章だなと思いました。1冊読み終えるのにかかったのは、1日1〜2時間×4日くらいでした。ただつらいシーンもあるので、読むときは体力がある時の方がいいかもしれない……と思います。

凪良ゆう先生の作品を読んだは「未完成」「美しい彼」に続いて3冊目です。読みやすいのもそうですが、文章がキラキラしていてきれいな作家さんだなって思います。読んでて気持ちいいので大好きです。

ネタバレあり感想

最初はやけに「ロリコン」の四文字が押し出されてくるので、もっと俗物的な話なのかと思っていましたが、読み終わってみれば崇高で繊細な愛の話でしたね……。

更紗が両親と過ごした幸せな日々の話は、読んでいて私も幸せな気持ちになりました。ママ友が一人もいない母親は、もしかしたら娘にもドライだったりするのかな……? と思っていたのですが、ちゃんと愛情表現もしてみんなで仲良く暮らしていたんだなぁと。ただこの母親は、父親のことが大好きすぎたんだなぁ……。

更紗自身も言っていたけど、母親にとって更紗は父親を越える大事なものにはなれなかったということなんですね。悲しいです。それでも更紗は母親が戻ってくるのを待っていたし、オールドバカラのグラスを飾っていたし、健気に待っていた・三人で過ごした頃に戻りたいと願っているのだと思うと本当に悲しかったです。

親子三人で過ごした楽園から一転、最悪な義兄のいる叔母家に引き取られた更紗の息苦しさはお腹がググ〜ってなるような重さがありました。。義兄だけは本当に許さん。

でも正直なところ、小さな更紗が文の家で過ごした時間はずっとハラハラしていました。。なぜならその時点では私は文のことを完全な小児性愛者だと勘違いしていましたからね……。更紗が文の家で寝こけていた時も、話が飛びますが梨花ちゃんが更紗に預けられて文と一緒にいた時も、ずーっとハラハラしてました。

ですので文が小児性愛者ではなかったんだとわかった時は土下座して謝りたくなりました(笑)ずっと更紗の視点でしか文のことは見えなかったですし、文自身も自分の考えをあまり主張しない人なので、体のことで悩んでいたり、小児性愛者にもなりきれなかったり、そういったことを抱えているのだとは正直想像出来ていませんでした。

更紗の境遇もかなりヘビーだったので、気を取られてそこまで意識が回らなかったのかもしれません。小学生の更紗の唇を撫でてじっとしている文の描写がブラフだったのも驚きでしたし。ミスリードが上手すぎる……と思いました。

そしてミスリードと言えば、文が捕まったあとも、更紗のことにめちゃくちゃ興味があって(ヒトとしての話)、更紗のことがめちゃくちゃ大好きで、ずっと会いたいと思っていたこともかなり衝撃でした。しかも、更紗のことを追いかけて引越しまでしていたとは。カフェで再会した時や、更紗がカフェに通っている時も、ずっと自分の気持ちを抑えて無反応を貫いていたと知った時はもう、、込み上げてくるものがありましたね。カフェの名前も更紗から来てると知った時は「マジか!!」ってなりましたし。

更紗が文を追いかけてカフェに通ってしまったり、マンションの隣の部屋に引っ越してしまったり、そういうのはなんとなく「分かる」んですよね。。更紗は元々「やばい人」ですし。でも文にもそういう衝動があるのか……!! ってビックリでした。ネット上の下世話なサイトで二人が繋がっていたというのにもビックリです。なるほどなぁ……って、ちょっとしたアハ体験でした。

文、更紗、梨花ちゃんの三人でマンションの隣同士穏やかに過ごしていた日々は、なんだか冒頭の更紗が両親と暮らしていた頃を彷彿とさせましたね。でもやっぱり一歩踏み出したらすぐ闇だという危うさはありましたけど……実際闇が待ってましたけど……。

亮はもう、とにかく「本当にいそうな男で嫌」っていう嫌悪感がやばかったです。無意識に女を見下してこき使うところとか、言うことをきかない更紗に暴力をふるうだとか、かと思えばしおらしくしたりだとか、とにかく嫌でした。文の情報をネットに売ったりとかも本当に嫌でした。亮に関しては精神的に安定している(ように見える)期間ですら「もう帰ってくれ!!」感がすごかったです。最後は静かにフェードアウトしましたけど、正直ホッとしてしまいました。

亮には亮のつらい過去があって、歪んでしまうのも分かるんですよね。。でも、そういう嫌いになりきれないところも含めてとにかく嫌でした。亮に関しては、更紗ではない女性と、DV心を消して幸せになってほしいって思っています。

だからもう、文が誘拐事件の犯人だと広まってしまって、更紗が文に接触しているのもバレてしまって、世間が文と更紗を好奇の目であれこれ言いまくって、文の恋人が文をフッて……、のあの怒涛の流れの時は、読み進める速度が尋常じゃなかったです。つらすぎて「早く過ぎ去ってくれー!!」って願うばかりでした。

でも警察署で、更紗が「本当に被害にあっていたのは預けられた叔母の家の息子」「文は私を唯一救ってくれた人だった」と言えた時には「おおっ……」って涙が出てしまいました。かつて小学生の時に言えなかったことを、時を経て言えたんだなぁ、、と。上手く言えませんが、更紗は強いなぁと思いました。

だから、本の最初の最初で話をしていたあの三人が、更紗、文、梨花の三人だと分かった時にはめちゃくちゃ嬉しかったです。とっても幸せそうなので。。二人はあちらこちらを転々とする根無し草のようにしながら、仲良く穏やかに幸せに暮らしてるんだなぁ……と、しみじみしてしまった。梨花ちゃんだけは二人を分かってくれているというのも嬉しかったです。それにしても梨花ちゃんはLoveすぎる。いい子だなぁ。

まとめ

全て読み終わったあとに表紙を見て、「あの頃のアイスなのかな……」ってなんだか泣けてしまいました。。でもスプーンが3本あるから梨花ちゃんと一緒に食べているアイスかもしれない。

更紗と文の名前の付けられないあの関係もとってもと素敵だなと思いました。「愛だなぁ」って思います。ずっと幸せに暮らしてほしい。

<コミックシーモア>
流浪の月

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