【BL小説感想】心を半分残したままでいる(1)(2)(3)-砂原糖子

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【BL小説感想】心を半分残したままでいる(1)(2)(3)-砂原糖子

目次

【作品データ】

CP:中上衛(一巻表紙右)×静良井真文(一巻表紙左)

著者:砂原糖子
イラスト:葛西リカコ

発売日:一巻:2018/08/17、二巻:2018/09/21、三巻:2018/10/19

出版社:新書館

【一巻あらすじ】

静良井真文(しずらい・まさふみ)には一年半以上前の記憶がない。記憶障害を起こしやすい彼は日々を日記に綴っており、それをもとに恋人だった『M』という男を探していた。ある日ふとしたきっかけで行きつけの喫茶店のマスター・中上と親しくなる。彼の申し出で一緒に『M』を探すうち、静良井は中上に惹かれていくと同時に、彼――中上衛こそが『M』ではないかという考えを抱き始め……? 長篇ドラマティック・ストーリー開幕!!

https://ebookjapan.yahoo.co.jp/books/471948/A001919910/

【ネタバレなし感想】

攻めの優しい愛がとても深い

あらすじのとおり、主人公(受)の真文は記憶障害を起こしやすい体質なのですが、とにかく真文への衛(攻)の愛が深くて感動しました。。一巻~三巻の間に過去と現在進行形でいろいろなエピソードがあるのですがその度に真文の懐の深さ、優しさに感動してしまいました。「愛」としか言いようがないですね……。

徐々にエンジンがかかってくる

最初は淡々としたスタートなのですが、徐々にエンジンがかかってきてストーリーにのめり込んでしまいました。様々な伏線や謎がだんだんと解明・回収されていくのが気持ちよかったです。

一巻~三巻の一気読みをおすすめします

私は無我夢中で三巻分を読み倒してしまったのですが、本当に一気読みした方がいい作品だと思います。というか、各巻とても続きが気になる終わり方をするので自然にそうなるのではないかと思います。特に一巻の終わりは叫び出しそうになりました。。今思い出しても心臓がきゅっとなります。

【ネタバレあり感想】※未読の方はご注意ください。

一巻~三巻を一気読みしましたが、今思い出しても泣きそうになります。。とにかく衛の愛と懐が深すぎて……。自分のことは置いておき、ひたすらに真文との約束を守って、真文の幸せを祈っているのが健気で泣けました。。

一巻ではフリーのライターとしてやっている真文の現在の話が中心でしたが、「M」を一緒に探す衛の心中を、今思えばつらかっただろうなあ……と。読みながら「Mはマスターなんだろうなあ」と思っていたのですが、年上のタワマン住みと全然違う人物像だったのでがっかりしたのを覚えています。

しかし、それは光彬が「M」に途中で成り代わっていたからだったのですよね。。光彬この野郎!!!! って一人で怒っていました。(?)

でも光彬に関しては、読み終わって落ち着いた今はそこまで悪い人ではなかったのかも……? と思ったりもします。金銭や仕事、衣食住で真文の助けになったのは事実なのだし。ただ、「M」に成り代わることができる、という欲に負けて魔が差したのかなあと思いました。普通に許されることではないですけどね……。真文が許してしまったので、私も怒りの置き所が無くなったという感じでした。

ただ一巻の終わり、池に真文を引きずり込んだのは普通にだめなのでやっぱりいい人でもないですね。人間は表裏一体なので悪いところも良いところもあるかと思いますが、悪い7:良い3が私の中の光彬像ですかね。。

一巻で衛を好きになった真文、でハッピーな予感とアンハッピーな予感を同時に感じていたのですが、思いがようやく通じあったあとにやはり記憶喪失になってしまいましたよね……。そうかあ……って思いました。悲しかったです。。

チェリーカフェの人たちといい、雑誌の編集者の人といい、真文の病気のことを知った上でとても優しいとは言えない言葉で伝える人が多くて心臓がキュッてなりました。。迷惑をかけている、仕事に穴を空けている、それは確かなので分かるのですがとにかく真文の心中を思うとつらかったです。。

そして二巻は急に過去の話になったので「!?」ってなっていたところ、真文と衛が昔は家が隣同士だったという事実発覚で更に「!?!?」ってなっていました。衛も髪を脱色していたりツンツンしていてめちゃくちゃかわいかったです。今の衛とのギャップで萌え倒しました。

そして幼い衛と真文のやりとりがまたかわいくてびっくりしました。真文、その時その時の記憶喪失よって性格のありようが変わるんだなあ……と、なんだか狐につままれたような気持ちになりました。二巻での一度目の記憶喪失前、衛と友達になりたくて子犬のように衛にまとわりついている感じがかわいかったです。

しかし、何かあるとメモを取っていたり、友達にからかわれたり、そういった小さな仕草やエピソード一つ一つで真文の今までの生い立ちを思うことになってしんどいですね……。母親の心中も察するにあまりあるなあと思いました。

真文のお母さんについては、表面では取り繕えていたと思うのですが、内側はぐちゃぐちゃだったのだろうなあと思いました……。物干し竿で気絶した真文を病院へ運ぶときの何かに取り憑かれたような母親の描写がとにかく怖くて、(シートベルトを締め忘れているところとか)母性からくる狂気が感じられてヒイヒイしていました。。でも、本当に優しいお母さんだったんだろうなあと思います。三巻で真文が思い出した(と表現していいのかは分かりませんが)ベビーカーの記憶とか、、つらいですね。。

衛についても、両親に愛してもらえなかった悲しい過去があり、とてもとてもつらかったです。。母親が帰ってこないドアの前で待ち続けていただとか、「待つのは慣れている」だとか、衛うう!! ってなりますね。。おばあちゃんが優しかったのが救いでしたが、、おばあちゃんの病気が分かった時のことは私もとてもつらかったです。。いつもはにぎやかな家の中がしんとしていて、キッチンに立つおばあちゃんの前には病院の封筒があって、、という時点でもう一旦読むのをやめてしまいました。(笑)つらすぎて一拍置かないと続きが読めませんでした……。とにかく、それぞれ悲しい過去を抱いていたんだなあと。

三巻も三巻で、途中までつらいことが多すぎてウウウ……ってなりながら読んでいました。実家に帰って、色々な思い出の品を見ても「何も感じない」「何も感じないのがつらい」と思う真文に泣けました。。

人間を形成する上で、記憶ってやはり重要な要素だよなあ……って思いました。同じ時間を共有した人間同士が強く結びつき合うのって、記憶ありきですしね。。ある意味血の繋がり以上に記憶の繋がりの方が重要なのかもしれないなあ……と思いました。

でも、それもこれもひっくるめて真文を愛している衛には本当に「愛」しかないし「愛」としか言いようがないですね。光彬は真文の病気を利用して愛を手に入れようとして、衛は真文の病気のことも含めてアガペーの愛を与えようとするという、そういうところが違うよなあと思います。

そして、私は「ハッピーエンドでないのでは……」という謎の恐怖を抱えておりましたので、三巻の途中までビクビクしていました。真文がカナリーで働くのではなく、別の喫茶店でバイトしているのも何かのフラグなのでは……と思いましたし、バレンタインには大雪は降るし、電車じゃなく徒歩で帰り始めたし、、とかなり戦々恐々でした。でも衛が雪の中を迎えに来てちゃんと二人でカナリーに帰れたので、なんだか、「あ、衛がいる限りもう大丈夫だな」って思いました。

遠くに海の見えるぽつんと経つ喫茶店、白いカナリア、全て何もかも伏線だったのだなあと今しみじみ思っています。そして最後の最後にタイトル回収で、はーーっ!! ってなりました。幸せです。

まとめ

佐藤!! 私は佐藤が大好きでたまらなかったです。(笑)ずっとかわいい。佐藤が出てくると和んでしょうがなかったので、佐藤の登場を心待ちにしていました。

短編もかわいくて萌えました。三巻の途中まで「ハッピーエンドになるわけがない……」と一人で謎の絶望をしていたのですが最後はめちゃくちゃハッピーエンドだったので私もハッピーになりました。というか、真文に衛がいてくれる限りハッピーにしかなりえないなあと思いました。二人とも幸せになってほしいです。

<コミックシーモア>
心を半分残したままでいる

以上、最後まで読んでくださってありがとうございました。

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