【BL小説感想】沈まぬ夜の小舟 上・下-中庭みかな

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【BL小説感想】沈まぬ夜の小舟 上・下-中庭みかな

目次

【作品データ】

CP:高野彗一(表紙左)×相澤創(表紙右)
   瀬越×相澤創、東×相澤創、モブ×相澤創

著者:中庭みかな
イラスト:テクノサマタ

発売日:2021年5月31日

出版社:株式会社幻冬舎コミックス

【あらすじ】

母を亡くし、居場所を失った17歳の創。新しい家族を築いて創を過去にしてしまった父にも、母の恋人だったひとにも頼れない。だから、ひとりで生きていくために自分が売れるものは何でも売ると決めた。いくつも掛け持ちしているアルバイトでは不器用でも丁寧な労働を、ときには、大して価値があるとも思えない自分の体を。そうして眠るときには薄っぺらな寝袋の小舟に乗って、夜ごと星空の航海に出かけるのだ。明日はもっといいところまでたどり着けますように――。

あるきっかけから、母が入院していた病院に麻酔科医として勤める高野と、その後輩にあたる外科医の瀬越の世話になることに。けれど、絶対に知られたくない秘密と想いを抱えている創は、二人に嘘を重ね続け……?

https://renta.papy.co.jp/renta/sc/frm/item/256009/title/824123/

【ネタバレなし感想】

切なすぎるストーリー

主人公の創がとにかくかわいそうでした。創は、母親を早くに亡くして居場所を失い、誰にも頼れず、売れる物は全て売って生活している少年です。どんなにぼろぼろになっても、頑張り続ける創の姿は胸に迫るものがありました。

下巻は涙なしには読めませんでした

最後の方は、創と高野がいるだけでもはや泣いてしまう状態になってしまいました。つらいことが重なって、創は何度も沈みかけるんですけど、ちゃんとまた立ち上がっていくんですよね~……。そして傍らには高野という何者にも代え難い存在がある。尊いなあと思いました。

やさしくてあたたかい文章

創視点が中心で、優しさが伝わってくるようなあたたかい文章だなあと思いました。本当は何日間かに分けて読もうと思っていたのですが、気が付いたらノンストップで一気に読んでいました。

高野以外の人との絡みがガッツリあります

メインなのは高野×創ですが、高野以外の人との絡みもガッツリあります。私は大大大大大好きですが、苦手な方は注意が必要かもしれません。

【ネタバレあり感想】※未読の方はご注意ください。

文章が読みやすいですし、続きが気になって気になって、上・下巻を一気に読んでしまいました。心に沁みるようなあたたかい文章ですよね。内容がなかなかにつらい時もありましたが、それでもほっとするような優しさを感じました。

全編に渡って、創は自己犠牲の精神が強すぎましたね……。機能不全家族の後遺症ですよね。両親が離婚したあと、父親には歯牙にもかけられていませんでしたし、母親にも少し邪険にされていた描写もありましたし、なんだか私も落ち込んでしまいました。(笑)

父親にはもう新しい家庭があって、母親にはナカムラさんという恋人がいて、どこにも居場所がなかったという……。母親が倒れてから、父親の新しい奥さんのところに行ってそこでも疎まれて、野宿生活というのですから、相当つらかっただろうなあと。

でも実際、こういった場合はどこへ行けばいいのでしょうか? 作中でも「もっと年齢が低いか高ければ」とありましたが……。十七歳ですと、行政に頼れば施設に入れたりしたのでしょうか。でもそもそも、行政に頼ればいいという知識を仕入れる余裕が創にはなかったとも思えます。高野たちも、創の野宿生活のことを知ったのはかなり後でしたもんね。創が周りの大人に気づかれないように上手くやってしまったのが、いかんともしがたい……。

<コミックシーモア>
沈まぬ夜の小舟 上

そしてとりあえず、高野先生の懐が広すぎてびっくりです。変人なところもありますが、大きな愛をもって創を包んだすごい人だなあと思います。下巻で、創がウリをやっていたと知っても高野先生には全く逡巡が見られなかったので「おお!」ってなりましたね。

ラーメンの湯気で曇らないように額にメガネを上げるところとか、高野先生のそういうちょっとした仕草がかわいいな~~って萌えますし、手術の失敗のことで瀬越先生が動揺しているのを窘める(あれ、瀬越先生のためにわざと淡々と言ってましたよね)冷静さもあったり、とにかく優しくて、好きだあ……ってなります。

瀬越先生も、最初はすごく優しいという印象だったのですが、「創がそういうこと(ウリ)をやっていると知った時に興奮した」と言ってみたり、創にひどい言葉を浴びせてみたり、加虐的な面があると知ってびっくりしましたね。「いや~最高だな」と思いました。

創に被虐趣味は無さそうな感じでしたが、どうしても人の加虐心を煽ってしまうんだなあ。東もそうですし、そういう男を興奮させてしまうものを持っているんですよね。(だから創が悪い、と言いたいわけじゃないです)

瀬越先生も創も、いっぱいいっぱいすぎましたね……。瀬越先生が大金を渡した時は、「もう関係修復は絶対無理だな」ってショックでした。創がコンビニと病院の清掃の仕事を辞めた辺りの絶望感もやばかったです。お金も、どうしてそんなものを持っているのか記憶がなくなるほどおかしくなってしまっていましたし、心も体も限界だったんだなあ……と。

それまで、何度もつらいことがあったけど創は立ち直っていたんですよね。夜空の小舟もあったし、高野先生の魔法の言葉もありましたし。でもあの時の創には小舟も魔法の言葉も何も無くて、その絶望を想像したら、目から勝手に涙が滂沱のごとく。。読んでいてつらかったです。

だから、公園の遊具の中で冬眠しようとしていた創を、高野先生が見つけだしてくれた時はめっっっちゃくちゃ安心しました。それから、創が入院して元気になって、高野にちゃんと真実を打ち明けられて、瀬越先生とも和解できて……と、絶望がどんどん希望に塗り替えられていくのがよく分かりました。

創もそれまでよく頑張ったし、高野先生が救い上げてくれて、本当に本当に良かったな~って思いました。水槽の熱帯魚もたくさん育ててほしいですし、創にはこれから高校生活をめいっぱい楽しんでほしいと心から思います。

そして、ナルミが結構好きでした。ナルミは口が悪いし、ビジネスにはシビアで冷たいなと思う場面も多々ありましたけど、創が「もう東と会いたくない」と言った時にはちゃんと東に「創は予約でいっぱいだから会えない」と伝えてくれていましたし(当たり前っちゃ当たり前かもしれませんが!)、見舞いに花束を持ってきてくれたりなど……。不器用だけど、創のことを気にかけてくれた一人なのかなって思いました。

創はずっと「自分のことなんか気にかけてくれる人はいない」と思っていたと思うんですけど、「そうじゃなかったし、これからもそうじゃない」っていうことを知っていってほしいですし、幸せになってほしいな~!! って思います。

【まとめ】

つらいと思う場面も多々ありましたが、最後には全部包み込んでじんわりとあたたかくなるような、心に沁みる素敵なお話だな~と思いました。また何度でも読み返していきたいと思います!

<コミックシーモア>
沈まぬ夜の小舟 下

以上、最後まで読んでくださってありがとうございました。

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