【一般小説感想】レモンタルト-長野まゆみ

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【一般小説感想】レモンタルト-長野まゆみ

目次

【作品データ】

レモンタルト

著者:長野まゆみ

発売日:2009年10月

出版社:講談社

【あらすじ】

「もう、ずっと前から義兄(あに)のことが好きだった」姉は若くして逝った。弟の私は、姉の夫だった義兄と、遺された一軒家でふたり暮らしをしている。会社では無理難題を持ちかける役員のもとで秘密の業務にあたり、私生活でも奇妙な事件ばかり。日増しに募る義兄への思いと、亡き姉への思慕。もどかしい恋の行方と日常にひそむ不思議を、軽やかに紡ぐ連作集。

https://www.cmoa.jp/title/1101023420/

【ネタバレなし感想】

限りなくBLに近い非BL作品

長野まゆみ先生の作品にはいつも萌えさせていただいています。一般小説なのですが、すごくBLに近くてどきどきしてしまいます。

男やもめの義兄と義弟の物語

亡くなった姉の夫(義兄)と義弟である「私」の物語なのですが、義兄がめちゃくちゃかっこよくて好きです。普段は突き放していても、「私」がピンチの時にはどこからともなく来て助けてくれるんですよね。かっこよすぎる。

ちょっとミステリアスなストーリー

やっと答えにたどり着いたと思ったらまた答えが分からなくなって、の繰り返しです。まるで雲でもつかんでいるような気持ちになります。長野まゆみ先生独特の作風が今作でも展開されています。大好きです。

文章が読みやすいので普段読書をしない方にもおすすめ

長野まゆみ先生の文章は、美しく繊細でありながらすごく読みやすいので、普段活字にふれていない人でもとっつきやすいのではないかと思います。そして一般書籍なので公共の場でも堂々と読めます。(笑)

【ネタバレあり感想】※未読の方はご注意ください。

長野まゆみ先生のファンなので、今作もウキウキで拝読しました。(笑)大雨の中女に傘を差し出されるところから始まる、その描写からしてすごく美しいですよね。聞こえるはずのない雨音が聞こえてきそうです。

そして義兄と義弟が隣に住んでいるという設定だけでもう感無量です。(?)最初の、仲が悪いわけではないけど仲が良いわけでもないという距離感もなんとも言えない。

その後傘の持ち主の父親だという人物に会って部屋で襲われて、そこもウオー! って感じだったのですが、そのあとの義兄の壁に耳をそばだてているだの、のぞき穴があるだの、姉にはさん付けなのに義弟に対してだけは「おまえ」呼ばわりだの、とツボすぎてパンクしそうでした。その直前まで割と義弟に対して塩対応だった気がするのですが……(笑)ほんと大好きです。

そのあと、Yにキスされたあとに颯爽と現れる義兄にはもはや笑ってしまいます。神出鬼没だ。頭を汚した私にひざを貸してくれたり、遺産目当てだと言ってみたり、ダークスーツに着替えて出て行ったり、義兄もつかみ所のない男なんですよね。だから魅力的に見えるんだろうなあ。姉が束縛したがったのも分かるかもしれませんね。

そしてレモンタルトと、「海へ行きたい」のところ。完全に義兄に惚れてるじゃないか……と頭を抱えてしまうほど直球です。そう考えると、ものすごいタイトルですよね。えらいこっちゃ。

そして人事部長のひとり息子と甥のところもすごい。「彼の指が暗示する未熟なけものを、~気晴らしにした。」がめちゃくちゃえっちです。「私」って結構子供っぽいと思っていたのですが、ここでめちゃくちゃ大人な雰囲気を感じました。

そして車が無くなったところでSUVに乗った義兄登場で、もはや「やっぱりな!」という(笑)どんな義兄だ。しかし「母親の運転する車で事故死」の話の時の義兄と姉の過去の話を読むとなんか切なくなるんですよねー……。義兄は姉のことを本当に愛していたんだな~と分かりますし。そして朝比奈夫人めちゃくちゃいいキャラしていて好きです。「大好きな男をよ」とか「しばらく貸すだけよ」とか、かっこよすぎます。

「おいしい料理」では、もうめっちゃくちゃ走り回ってゴタゴタして、いろいろ傷ついたのに、結局エイプリルフールかい! というやられた感と、私とMと義兄のコント(しかも二人は裸)でひっちゃかめっちゃかで楽しかったです(笑)

そして最後の「傘どろぼう」では、「私」がずっと前から義兄が好きだったということを告白する一節があるので、もう、切ないなぁ……という。その直前にあった学生への「枚数」の問答、突然始まるストリップに面食らったあとだったので、なんだか落ち込んでしまいました(笑)姉と義兄の仲むつまじかった様子の描写がまた心に来ますね。

それからTのパイプ椅子と駅の階段で骨折した「私」のところにまた義兄が来てくれて、その後伊豆へ……という、その「先」を感じさせる終わりが爽やかですよね。これから義兄と私の関係がどう変わっていくのか、予感を感じさせてくれるというか。海を見ながら音楽が聴きたくなるような、心地よい読後感だなあと思いました。

【まとめ】

「私」(士)と義兄、朝比奈夫人、それからY、M、Tという様々な人物の人間模様が楽しい一冊でした。そして限りなくBLに近い一般書籍だと思います。BLが好きな方に是非読んでほしいな~と思います。

<コミックシーモア>
レモンタルト

以上、最後まで読んでくださってありがとうございました。

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