【一般小説感想】アスク・ミー・ホワイ-古市憲寿
作品データ
アスク・ミー・ホワイ
著者:古市憲寿
発売日:2020年8月27日
出版社:マガジンハウス
あらすじ
過去はね、変えられるはずなんだよ。
もしかしたら、未来よりもずっと簡単に
初めて港くんと会ったのは、大寒波が到来した冬の日だった。
港颯真・元俳優。写真週刊誌のスキャンダル報道によって、彼は、
少し前に芸能界から姿を消した。
ヨーロッパの街を転々としていたようが、
ここアムステルダムに住み始めたという噂は本当だったのだ。
https://www.cmoa.jp/title/1101285728/
【ネタバレなし感想】
「BLっぽい一般小説」、大好きなんです。
ただこの作品は思っていた100倍はガッツリBLでした。また、文章が読みやすく、情景が頭の中に次々浮かんでくる心地良い作品でした。オランダに行ってみたいなぁ。
情景描写がすごい 本当にその場にいるみたいな臨場感
読んでいて一番に感じたのは、情景描写のすばらしさでした。色鮮やかで、自分が本当にその場にいるみたいです。アムステルダムに行ったことはありませんが、どこか懐かしさのようなものを感じました。でも自分の知らない文化のこともたくさん書いてあって、なんだかワクワクしました。
主人公の成長っぷりにびっくり
主人公のヤマトはそこら中どこにでもいるような鬱屈した若者ですが、港くんと出会ってどんどん変わっていく様は読んでいて爽快でした。ヤマトのシンデレラストーリーと言ってもいいのかもしれません。そして「もしかしたら私にも何かの可能性が眠っているんじゃないかしら」という気にさせてくれます(笑)。落ち込んでいるときに読むと元気が出そうな作品です。
港くんが魅力的すぎる
港くん、いいキャラしてるなぁとずっと思っていました。お金も持っていて、元俳優で、コミュ力もあるしまさにスパダリといった男性なんだけど、弱さも持っているし、子供みたいな一面もある。港くんの危なっかしさには何度もハラハラさせられてしまいました……(笑)。でも港くんもヤマトと出会ってどんどん変わっていくんですよねー。
不穏なスタートですが、最後はハッピーエンド
あらすじや試し読みを読んでみたとき、てっきり暗い話なのかと思っていました。(すみません)でも、読んでみたら波乱万丈ありながらも最後はハッピーエンドでやさしい物語でした。愛について考えたくなる作品でした。
【ネタバレあり感想】
港くんはよく今まで無事でいられたなぁと思うほど、危なっかしい。ドラッグのこともそうだし、性にも奔放で、とにかくハラハラしていました。私が一番港くんに「まじかよ」と思ったのはやはりサウナで出会ったギタリストとのシーンでしょうか……。あの時点で港くん、かなりヤマトのことが大好きだと思うのですが、恋心と性欲は別物なのでしょうね。
それから、最初はヤマトのことを「いかにも今どきの若者」といった性格に描写されていたと思うのですが、読み進めていくとヤマトは芯を持っているし、頭も良いし、優しい魅力的な人だということに気づかされるんですよねー。そしてどんどんヤマトが好きになっていく(笑)。港くんもヤマトも人間くさくて好き。
そして港くんとヤマトが終盤でいきなり進展してしまったので本当にビックリしました。私は、個人的には「ヤマトと港くんはくっつかないでこのまま親友でいるんだろうな~」などと思っていたので、ヤマトが「確かめたいことがある」と言ったシーンでは目玉が飛び出るかと思いました(笑)。急だなー! と。でも港くん相手にはそのくらいの方が良いのかもしれませんね。
まとめ
読み終わったあとの満足感がすごかったです。内容の密度が高くて、物語に心地よく没頭できました。
また読み返したいと思います。
以上、最後まで読んでくださってありがとうございました。